佐藤委員長
これより会議を開きます。
文部科学行政の基本施策に関する件、特に教育振興基本計画等について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として財務省主計局次長真砂靖君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、生涯学習政策局長加茂川幸夫君、
初等中等教育局長金森越哉君及び高等教育局長清水潔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
佐藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
佐藤委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕優子さん。
小渕委員
おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。
今回、久しぶりにこの場に立たせていただきます。
質問の機会をいただきましたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。
本日は、閣議決定まで大詰めを迎えています教育振興基本計画につきまして、大変多くの関心が寄せられておりますので、
こちらを中心に、その中身につきまして今後いろいろと質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
この教育振興基本計画の策定に当たっては、もう申し上げるまでもありませんけれども、二〇〇〇年に、
教育改革国民会議によって、教育基本法の改正とともに教育振興基本計画の策定が提言をされました。
それから六年の時間をかけまして、一昨年に、六十年ぶりになります教育基本法が改正となりまして、それに伴い、この改正教育基本法の理念を踏まえて、
今後の中長期的な教育の施策の具体的な骨格となるのがこの教育振興基本計画ということで現在進められておるということを承知しております。
日本は今後、教育立国ということで、十年先のあるべき姿を見据えて今後五年間に取り組むべき施策を示すものということで、
このような試みがなされることというのは教育史上初めてであるというふうにお伺いをしております。
そのこともありますので、大変高い関心と大きな期待が寄せられていると承知をしております。
現在、我が国の教育を取り巻く環境は大きく変化をし、また、教育のレベルの低下などさまざまな心配がなされる中で、
これからの日本の将来を担う子供たちに夢と希望を与え、この国の未来を切り開いていくために、
こうした時期にこの教育振興基本計画が策定されるということは大変大きな意味があるというふうに考えております。
この国のこれから、二十一世紀の新たな教育のあり方を示すものであると言っても過言ではないというふうに思います。
ですから、この教育振興基本計画の内容については、できるだけ具体的かつ国民にわかりやすい内容でなければならないと思いますし、
今後の教育にどれだけの予算を投入し、そして、どういう形で教育の質の向上につなげていくかなど、
実効性のある内容にしていかなければならないというふうに考えています。
これから数々の教育の再生を図っていくわけですけれども、幼児教育から高等教育に至るまで、今後多くの改革を考えていかなければなりません。
そのために、さまざまな施策の実施を裏づける財政的基盤の確保というものが私は何よりも不可欠ではないかというふうに考えています。
今回、この教育振興基本計画案の中では、「目指すべき教育投資の方向」ということで、具体的に、GDPに占める教育への公財政支出の割合を、
今後十年間を通じて、OECD諸国の平均である五・〇%を上回る水準を目指すということが盛り込まれています。
これまで我が国は、OECD諸国の中でもこの公財政支出の割合がGDP比率で低いレベルにありまして、
これをせめて先進国の平均ぐらいには上げていきたいという御意見が、これは与野党を通じてたくさんあったというふうに承知をしております。
今回このような形で数値を明確に示したということは、私は大変重要なことだというふうに思っておりますし、
文部科学省の今後の教育に対する意気込みを感じるところでありますし、国民の皆様に対しても大変わかりやすく、
また、教育再生を目指していくんだという大変強いメッセージが伝わるのではないかと私は大いに評価をするところだと思っております。
そこで、まず最初に大臣にお伺いをしたいと思います。
このGDP比率五%ということに関しては、事前に新聞報道などでも出ていましたので、
これまでの大臣の御答弁の中でも触れられる機会があったかと思うんですけれども、
改めまして、このGDP比率、国力の五%ということを示すに当たって、
しっかりとした目標値を持ったということに対しての大臣のお考えをお願いしたいと思います。
渡海国務大臣
小渕委員から大変力強い御意見をいただきました。
ここに至る経緯というのは今おっしゃったとおりでございまして、
教育国民会議からの議論がこの振興計画のベースになっているわけでございます。
私どもは、教育の計画をつくるときに、どういった考え方に立つのかということを随分議論してまいりました。
また、多くの皆さんの御意見も聞いてきたところであります。
成果目標をしっかり示して、あえて数値は書かないという選択も実はあったわけで、私も正直言いまして迷いました。
しかしながら、やはり国民にわかりやすいメッセージを出すからには、そういったものをしっかりと示すべき
という数多くの意見も寄せられているところでございまして、そういう中で私が最終的に考えたのは、
GDPというのは、ある意味の国力であります、国の持つ力であります。
国力というのは、いろいろな考え方があります。領土の広さ、資源の量、そして、ある面では軍事力もそうかもしれません。
そういった中で、一つの指標として、国が持っている国力、これはGDPという値であらわされるであろう。
だとするならば、その国力をベースにして、政策選択として教育というものをどういうふうに位置づけていくかということを考えたときに、
このGDP比という考え方、こういうものがあると私は考えております。
OECDがいろいろな国際比較を出しておるわけでありますが、あの国際比較も、
さまざまな国の事情によってこの分析というのは一概に比較はできないけれども、
しかし言えることは、国家が選択としてどういう政策を選んでいるかということについては大いに参考になる、
こういうふうに記述をされているんですね。全くそのとおりだと思うんです。
日本の国力、このGDPの源泉というのは一体何かということを考えたときに、これはどう考えても、
資源のない我が国で唯一の資源は、人間なんです、人材なんです。
人材というその国力を今後とも維持していく、そのことによって日本の社会を持続的に発展させていくということを考えれば、
教育は最優先すべき政策課題である、こういった考え方に立った場合に、私は、
OECDの平均並みという一つのこのメルクマールというのは超えなければいけない、こういう考え方をさせていただきました。
いろいろな事情があるからという御意見はございます。
しかし、例えば公共事業一つとりましても、あるときは、日本の公共事業はGDP比で大きいじゃないかという議論もされるんです、財政側は。
しかし、これだって国の事情でいろいろ違うわけでありますから、そういうことを考えれば、やはり教育という、
例えば投資がなかなか目に見えないことも事実でありますけれども、そういったものに対してしっかりとした目標を持って我々は教育政策をつくっていく。
具体的な中身ももちろんお示しはしておりますが、投資目標というこういった目標に対してしっかりとしたメッセージを出していくということが教育政策として重要であり、
振興計画の中で非常に重要な役割を果たす、そういう考え方で私どもはその考えを、今、省庁会議といいますか、
政府内部の調整という中で主張させていただいているところでございます。
小渕委員
ありがとうございました。
大臣のおっしゃった、教育は最優先であり、また目に見えない投資にもしっかり目標を持ってメッセージを出していくんだというお話でしたけれども、
本当に、全くそのとおりであるというふうに感じています。
しかし、GDP比五%といいますと、現在、この国の公財政教育支出はGDP比三・五%でありますから、
一・五%伸ばしていくということになりまして、これは、お金にすると約七・四兆円の増額となるわけであります。
これもすべて国民の大切な税金でありますから、やはり国民の皆さんが納得できるような形で使っていかなければならないというふうに考えます。
そこで、文部科学省にお尋ねします。この増加分の具体的な用途につきまして教えていただきたいと思います。
加茂川政府参考人
お話にもございましたように、文部科学省といたしましては、公財政支出について、今後十年間を通じて、
OECD諸国の平均であります対GDP比五%を上回る水準を目指すという目標を掲げまして、
これを拡充していきたいと考えておるものでございます。
この間の教育に関する課題でございますが、私どもの案、具体的には第二章でも示しておるわけでございますが、幾つかございます。
第一には、幼児教育の無償化という課題がございます。
また、教員が一人一人の子供に向き合う時間を確保するなど、質の高い教育条件の整備といったことも課題になってございます。
家庭の経済状況によらない修学機会の確保、あるいは、国際的に競争できる大学への教育研究水準の維持向上、そして学校施設等の耐震化、
こういったもろもろの課題があると認識をしてございまして、拡充されるべき公財政支出につきましては、
こういった課題解決のために重点的に配分していくべきものと私どもは考えておるわけでございます。
小渕委員
やはりたくさんのお金を預かるとなると、そのあたりは国民の目も大変厳しくなってきますし、そこにはしっかりとした説明をし、
ばらまきなどと言われることがないように、国民の皆様に理解をいただけるようにしっかりとした説明責任を果たしていかなければならないと思いますし、
今後、そのお金を投入することによってどのような改善がなされたかという検証もしていかなければならないと考えております。
次の質問に移らせていただきます。
今回の基本計画で数値目標を挙げる原点となったのは、政府の教育改革国民会議の十七の提案にあります。
そこには、教育への投資を惜しんでは改革は実行できない、教育への投資を国家戦略として考えなくてはならないというふうに書かれています。
また、教育基本法改正をめぐる議論の中でも、改正法で基本計画策定を義務づけ、数値目標を掲げるということが議論されています。
先日、民主党の高井委員の質問の大臣の答弁の中でもありましたけれども、教育投資とは、
日本の国家が人材にどれだけ期待をするかというその期待度のあらわれであるということをおっしゃっておられました。
やはり基本計画は、そうした予算の裏づけがしっかりしたものであることにより、その実効性が果たせるのであるというふうに考えています。
先般、新聞などの報道を見ておりますと、この教育投資をめぐって文科省と財政当局との間で大変熾烈な攻防が続いているというふうに聞いています。
そんな中で、ちょっと財務省にお伺いをしたいと思います。
財務省の見解を見させていただきますと、我が国の教育予算は、主要先進国と比べ遜色のない水準であるということが言われています。
これにつきましてはそれぞれ御意見があるかと思うんですけれども、実際、私自身、果たしてそうかしらというふうに疑問を持っておるんですけれども、
何をもって主要先進国と遜色のないということをおっしゃっておられるのか、ちょっと財務省のお考えをお伺いできたらと思っております。
真砂政府参考人
お答え申し上げます。
少し計数にわたりますのでお許しいただきたいと思いますが、今、予算のGDP比の議論で、五%がOECD平均だというお話でございます。
我が国の場合、このレベルでいいますとGDP比が三・五%ということで、五%に比べると、その七掛けという形になっております。
一方、総人口に占める子供の数を見てみますと、OECD平均が二三・一%、五人に一人が子供で、教育を受けている。
我が国の場合、残念ながら、この数字が一六・五%ということになっておりまして、子供の数も七掛けになっているわけでございます。
したがいまして、これは単純な算術でございますが、一人当たりの教育予算で見ますと、
当然、割り算でございますけれども、遜色のない水準にあるということでございまして、
教育という一つのサービスを受ける消費者は子供でございますので、消費者の目から見てどれだけお金がかけられているかという点から見れば、
一人当たりで見ていくということが正しい物の見方ではないかというふうに我々は申し上げているところでございます。
こういう子供の数を全く無視して、全体としてのGDP比、例えば五%にするんだということになりますと、一人当たりで見ますと、
七割しかいないわけでございますので、OECD平均よりも一・四倍お金をかけるということに相なるわけでございますが、
何ゆえ我が国だけがOECD平均よりも一・四倍教育予算を投入しなければならないのかという点について、
私どもは明確な理由をお伺いしていないところでございます。
以上でございます。
小渕委員
私も財務省の資料を見させていただいて、生徒一人当たりの教育支出ということで、対総人口一人当たりのGDP比というものを出しているんですけれども、
私も数学が弱いのか何かわかりませんけれども、なぜこれを出さなければいけないのかというところが正直わからないところでありまして、
子供の人数が七掛けだからその分予算も七掛けでというのは、ちょっと乱暴な御意見かなというような気がしております。
教育にどれだけ財政を投じるかということは、国家として重要な政策上の選択でありますし、
先ほど大臣もおっしゃっておられましたけれども、本当に資源の乏しい日本がこれだけ大きく発展してきたのは、
やはり教育というものにしっかり先人がお金をかけて投資をしてきたから、そういう方々がこの国で活躍をされてきたのだと思います。
だからこそ今のこの国があるわけであって、人材こそがこの国の資源であると考えるのであれば、
人材への投資である教育を最優先の政策課題として考えるのは、大変重要なことではないかというふうに考えるところであります。
ちょっと身近なところで考えてみますと、私も一人の子を持つ親の立場になりまして考えるときに、今、少子化だとこの国は言われているんですけれども、
二人目、三人目を産むときに、家計の負担というものを考えてしまうことによってこの国の少子化の原因になっているのではないかということが言われていて、
やはり周りでも産むのを考えてしまうということを言う方々もおられます。
子供を授かるに当たってそんなことを考えてしまわない国をつくっていきたいというふうに思いますし、やはり親の所得であるとか本人の所得、
住んでいる環境とか、そうしたものにかかわらず平等に教育が受けられる、そんな環境をつくっていかなければならない。
そして、今こそ新しい教育基本法のもとで新しい教育再生を始めなければならない中で、今財務省の方から御丁寧な御説明をいただいたんですけれども、
やはりこの国の教育予算というものは、私は十分とは言いがたいのではないかなと思うところであります。
今後、また厳しい折衝が続いていくのかと思いますけれども、GDP比五%を政府の決定として位置づけられるように、
文部科学大臣と文部科学省におかれてはぜひ頑張っていただきたいと申し上げたいと思います。
次の質問に移らせていただきます。
学習指導要領が三月に改訂となりました。
その中で、確かな学力を確立するために、知的活動、コミュニケーションや感性、情緒の基盤である言語に関する能力の育成、
理数教育の重視、外国語教育の充実、十分な授業時間の確保など、これが二十一年度から可能な限り実施、
小学校においては二十三年度から、中学校では二十四年度から完全実施ということになっています。
学力低下が叫ばれる中で、確かな学力を確立するためにこうしたことが積極的に進められていくことは私も賛同するところなのですが、
ただ、現場のことを考えますと、今既に、ただでさえ本当に忙しい学校の中で、これまでと同じ体制のまま、
こうしたことが実際に現場で進めていけるのか、正直不安なところであります。
現場では、あれもやれこれもやれと言われて、もういっぱいいっぱいだよというところもあるのではないかと思うんですけれども、
そうした不安の声にこたえて、今後、文部科学省としてはどのようにしていくつもりなのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
金森政府参考人
御指摘がございましたように、新しい学習指導要領の実施によりまして、教員には、授業時数の増に加え、
言語活動の充実や体験活動の充実など、授業時数には必ずしも反映されない教育の質の向上が求められております。
このため、教職員定数の改善を初めとする教職員配置など、教育を支える条件整備が必要であると考えております。
現在、教育振興基本計画の文部科学省原案におきましては、新学習指導要領の円滑な実施を図るために、
授業時数の増への対応として一万三千三百人程度、また、現在実施しております小学校の国語、算数、理科、
中学校の数学、英語、理科といった基本三教科における少人数指導についての授業時数の増への対応として八千八百人程度、
小学校の外国語活動において英語を専門とする教員と学級担任とのチームティーチングによる授業の実施として二千四百人程度を行うこととし、
計二万五千人程度の教職員定数の改善を盛り込んでいるところでございます。
新学習指導要領につきましては、小学校は平成二十三年度から、中学校は平成二十四年度から全面実施することとしておりまして、
文部科学省といたしましては、今後、予算編成を通じて必要な定数改善を行いたいと考えているところでございます。
小渕委員
ありがとうございました。
やはり私自身の経験からも、教員によって子供の学校生活が大きく左右されますし、
ひいては子供の将来にまで影響してくることではないかというふうに考えています。
やはり子供たちと一日の中で一番長く接するのが教員でありますので、
教員の質の確保また定数の確保というものは大変重要な問題であるというふうに考えています。
今回、質の向上そして定員の改善ということについて、二万五千人の増ということで具体的に数値を出して、
強く打ち出しておられますけれども、学校現場の声というものをやはり何よりも大切に、
今後、総務省との調整というものをしっかりしていかなければならないと考えておりますので、
ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
この質問にあわせてもう一つ質問なんですけれども、新学習指導要領のことだけでなくて、学校現場においては、
今、さらに多様な課題を抱え込んでいるというふうに承知をしています。
モンスターペアレンツと呼ばれる親御さんの対応であるとか多様化するクラブ活動、その他必要事務作業など、
十八年度の調査によると教職員の平均残業時間も三十時間を超えているという、本当に先生、
学校にかかる負担というものが大変大きくなっているというふうに承知をしています。
こうしたことに対しても、文科省としてもしっかり支援をしていかなければならないと考えておるのですけれども、
お答えをお願いしたいと思います。
金森政府参考人
教育再生の取り組みを真に実効あるものとし、子供たちの学力の向上と規範意識の育成を図りますためには、
教員が子供と向き合う時間を拡充することができるよう、学校現場で日々頑張っている教員を支援する体制が必要であると考えております。
文部科学省におきましては、主幹教諭によるマネジメント機能の強化などを図るための教職員定数の改善を行いますとともに、
外部人材の活用や学校支援地域本部の創設など、子供と向き合う時間を確保するための施策に必要な経費を平成二十年度予算に計上しているところでございます。
教育振興基本計画の文部科学省原案におきましても、教員が子供一人一人に向き合う環境づくりについて盛り込んでいるところでございまして、
私どもといたしましては、国民の期待にこたえることができる充実した計画となるよう努力してまいりたいと考えております。
小渕委員
やはり今回の教育基本計画の中で、教員の質の向上としっかりとした定数の確保というものは大変重要な柱の一つではないかと考えておりますので、
ぜひとも現場の声を聞いてしっかりとした対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移らせていただきます。
幼児教育についてお伺いをしたいと思います。
改正教育基本法の中で幼児期の教育の規定が盛り込まれましたが、
生涯にわたる人格形成の基盤となる幼児期の重要性というのはもう申し上げるまでもないことです。
基本計画の中にも、認定こども園のさらなる活用、また幼児教育の無償化などが挙げられています。
認定こども園に関しては、認定件数二千件以上を目標に掲げていますが、現在二百二十九というふうに聞いておりまして、
手続上の問題や使い勝手が面倒という理由でなかなか進んでいないというふうに承知をしています。
できる限り早期に目標を達成したいということが書かれていましたが、実際、どうやったらできるのか、
具体的な必要支援とは何であるのか、お伺いをしたいのと、また、あわせて、幼児教育の無償化についてなんですけれども、
幼児期の教育の高い負担が少子化の一因であるということは先ほどもちょっと申し上げさせていただいたん
ですが、この無償化は一日も早く実現させてほしいと思っている親御さんも多いのではないかと思います。
幼児教育無償化の話が出てからしばらく時間がたっているかと思うのですけれども、
具体的にどういうふうに実現させていくおつもりなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
金森政府参考人
まず、認定こども園についてでございますが、認定こども園の認定件数は、平成二十年四月一日現在で二百二十九件と、
着実にその認定件数がふえつつございますし、また、認定こども園を利用している保護者や施設に対する実態調査に
おきましても、保護者の八割近く、施設の九割以上が認定こども園制度を評価しているという回答でございます。
ただ一方では、施設や地方自治体からは、省庁間や自治体間の連携不足でございますとか、申請書類の煩雑さ、
会計事務処理の簡素化、財政支援などに関する課題や要望が上がってきているところでございます。
私ども、現在、実態調査の詳細につきまして集計をしているところでございますが、こういった課題の改善とともに、
認定こども園制度の一層の普及を図りますため、ことし五月に、文部科学省、
厚生労働省の両局長級の検討会を立ち上げたところでございます。
この検討会におきましては、夏ごろを目途に改善方策を取りまとめる予定でございますが、
直ちに取り組める事柄につきましては速やかに実施をいたしますとともに、
認定こども園制度の改革、充実を図り、その推進に努めてまいりたいと考えております。
また、幼児教育の無償化についてでございますが、幼児教育の無償化につきましては、骨太の方針二〇〇七におきまして、
「幼児教育の将来の無償化について、歳入改革にあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、
就学前教育についての保護者負担の軽減策を充実するなど、幼児教育の振興を図る。」こととされております。
文部科学省におきましては、この幼児教育の無償化について総合的に検討いたしますため、ことし五月に、
今後の幼児教育の振興方策に関する研究会を立ち上げまして、諸外国の取り組み状況や財源、
制度などについて調査研究を行っているところでございます。
この問題につきましては、財源や制度面の課題も大きく、また、
国民の幅広い理解を得ながら検討を進めていく必要があると考えているところでございます。
小渕委員
ありがとうございます。
やはり、教育振興基本計画をしっかり策定し、具体的な施策を速やかに実施していくことが国民の皆さんが大きく期待するところだと思いますので、
ぜひともしっかり進めていただきたいというふうに思います。
最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。
福田総理が四月三十日の記者会見で、道路特定財源の二〇〇九年度からの一般財源化の方針を説明した際に、
一般財源化した場合の使途として、社会保障や環境対策と並び、高等教育の充実など教育問題を挙げておられました。
今回、この教育振興基本計画ですけれども、やはり一番のネックとなっていくのが、
さまざまな施策を実現できるだけのしっかりとした財源を確保できるのかというところではないかというふうに思います。
この一般財源化に向けた文部大臣としての考え方とともに、教育振興基本計画、
閣議決定を前にした大臣の決意のほどを伺わせていただきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
渡海国務大臣
総理がそのように言及されたことは私も承知をいたしております。
ただ、一部言われておりますように、一般財源化するということになると、財源の分捕り合戦みたいな、私はそういうことは余り了といたしません。
我々はやはり、こういう教育を目指す、そしてそのためにはこれだけの投資が必要だ、
またこれだけの手当てが必要なんだということをしっかりと我々の考え方を申し上げて、そして、
その中で必要な手当てをやっていくというのが私は正当なやり方だろうというふうに思っております。
ただ、総理の中には、留学生三十万人計画を初め、日本の高等教育というものが今のままでいいのか、
この問題意識は強くお持ちであるというように認識をいたしておりますし、これは社会保障も重要な問題でございますから、
そういったことも含め、政府の中でしっかりと、一般財源化がされた場合はどのようにそれを使っていくのか、
また、どういう政策を重点的にそれで整備していくのかという問題を議論していかなきゃいけないんだろう。
いずれにいたしましても、我々は、我々が考えましたこの日本の教育のあるべき姿、その目的に向けて頑張っていきたい、
我々の主張をしていきたいと思っておりますし、また、それを振興計画の中でしっかりと、
閣議決定に結びつくようにこれからも頑張っていきたいというふうに思っておるところでございます。
佐藤委員長
以上で小渕優子さんの質疑は終了いたしました。